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2017.06.10

日記

【『まりも』と『いくら』が腎不全(慢性腎臓病)になりました(TдT)】

こんにちは、北大阪ペットメディカルプラザの獣医師小松です。
みなさんご存知の通り(?)、うちには四人の娘達『まりも』、『ほたて』、『ほっけ』、『いくら』がいます。

実は、『まりも』と『いくら』が慢性腎臓病を患ってしまいました。
長女『まりも』は、今年で10歳。腎不全になってもおかしくない年齢です。
でも、四女『いくら』は、まだ3歳。腎臓の病気が出る年齢としてはとても早い時期です。
お父ニャン(私のことです笑)はとてもショックでした。

左と右の腎臓

『いくら』の腎臓エコー写真です。上下同じ写真です。下の写真はわかりやすいように点線をつけました。片方の腎臓がもう片方の半分くらいしかありません。

昨年夏から新しく測定できるようになった、腎臓病マーカー「SDMA」も高値でした(涙)。BUN、クレアチニン、リン、カルシウムなどなど、院内で測れる数値は利便性がある一方で、腎臓以外の影響も少なからず受けてしまいます。
でも、SDMAは腎臓以外の影響を受けません。しかも、他の数値よりも早期に腎臓の機能低下を発見できます。

しかし、娘達を守れるのはお父ニャンだけです。
SDMAも高値だった以上、ここは覚悟を決めて闘病生活の始まりです!!

猫を飼っている方はご存知かもしれませんが、今年の四月から猫用の新しい腎臓病の治療薬が発売されました。

少し難しい話になりますが、腎臓の内部は実質と間質に分かれます。腎実質とはまさに尿を作っている部分で、腎臓の中心部分です。間質とは実質の周りの組織で毛細血管などが含まれます。
猫の慢性腎臓病は、病理組織学的に間質の線維化と炎症が主に起こることがわかってきました。腎臓間質の繊維化とは、毛細血管が萎縮することで血流が低下し、線維細胞に置き換わる状態です。ひとたび線維化が起こると、腎臓内で、炎症が発生し、血流減少、低酸素になり、さらに線維化が発生。またさらに虚血と低酸素状態という風に、悪循環のサイクルが起こり、どんどん腎臓組織を破壊していきます。

このたび新しく作られたお薬は、
①血管内皮細胞保護作用
②血管拡張作用
③炎症性サイトカイン産生抑制作用
④抗血小板作用
などの効能があります。
これらの作用により、猫の慢性腎臓病=繊維化の悪循環の鎖を断ち切ることで腎臓機能の低下を抑制します。

腎臓機能の低下だけでなく、食欲不振や体重減少、嘔吐などの症状を改善する効果もあります。
食欲が低下している『まりも』には、まさにうってつけの薬です!
まだまだ、治療は始まったばかり、お父ニャンはがんばります!!

猫ちゃんを飼われている方、まだ若いからと安心せず腎臓の機能のチェックは若い時期から定期的に行っていきましょう。『いくら』のように若齢から腎臓機能の低下が起こる子もいます。慢性腎臓病治療中の飼い主さん、一緒に頑張りましょう!
ブログ中に出てきた検査やお薬について、詳しくお聞きになりたい方はグループ病院スタッフまでお気軽におたずね下さい。

次のブログの更新予定は、6/24です!

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