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2019.06.08
予防のこと
こんにちは。動物メディカルセンターの獣医師の盛岡です。
令和元年。その最初の5月から北海道で39℃を観測する記録的な高温になり、今年はすでに熱中症のニュースをよく耳にします。
そこで今回は熱中症に関する話をしようと思います。症状の程度は様々ですが、重度になると命に係わる怖い病気です。本格的に気温が上がってくる前に、熱中症対策をしましょう!
<原因>
熱中症は直射日光、高温多湿、運動などが原因となります。急激に体温が上昇すると体温調節機能に異常がおこり、体温を自力で下げることができなくなり熱中症になります。
<リスク>
熱中症のかかりやすさは様々なリスク因子が絡んでいます。以下の項目に当てはまる場合は注意が必要です。
①熱を発散させづらい状態か
汗をかかないので熱の発散の多くは呼吸でおこないます。そのため、ペキニーズやパグ、フレンチブルドッグなどの短頭種や肥満で呼吸がしにくい状態、心臓病や呼吸器の病気を持っている子は熱を発散しづらい状態で、体温が下げにくい状態にあります。
②脱水しやすい状態か
脱水も熱中症の発症にかかわってきます。嘔吐や下痢をしている子、オシッコがたくさん出る慢性腎臓病などの病気を持っている子は発症しやすいです。
③熱を受けやすいか
熱い地面に近い短足の子や毛色が黒く日光を吸収しやすい子は熱を受けやすいので注意しましょう。
④年齢
若い子や年を取った子は成犬と比べて体力がないため注意してください。
<予防・対策>
熱中症の予防と対策は①水分補給と②危険な場所を避けることの二つになります。
①水分の補給
②危険な場所
様々な場所において熱中症にかかります。特に注意が必要な場所をリストアップしました。
昼間の散歩やドックランは気温も高く、さらに直射日光や地面からの輻射熱によりすぐに体温が上昇してしまうので危険です。散歩に行く際は、なるべく日が昇っていない早朝や日没後にしましょう。ただし、日没後に行く際は気温だけではなく、歩く地面の温度を手で確かめて熱くないか確認するようにして下さい。
車内の事故も多いです。JAFが行った実験によると真夏の炎天下でおいて、窓を閉め切った車はわずか30分後の車内温度は約45℃を超えてしまいました。また、窓を開けた状態や、サンシェードをした状態にしたとしても、30分後には40℃を超え、車内に留まるには厳しい車内温度になることが分かっております。車の中は短時間であっても絶対に動物を置き去りにしてはいけません。
また、室内も安心はできません。熱中症の発生のおよそ70%が室内で起こっています(アニコム損保「STOP熱中症新聞 VOL.1」)。室内の温度管理は重要ですのでエアコン・扇風機をつかって快適な温度を保ちましょう。また温度管理以外にも動物たちが涼しく快適に過ごすために、様々な清涼グッズがあります。冷却マットやバンダナ、凍らせたペットボトルなどを活用するのも良いでしょう。
<熱中症かな?と思ったら…>
症状と照らし合わせて、少しでも熱中症を疑わしいときはすぐに病院に連絡し応急処置を行いましょう。応急処置は水分の摂取と体温をさげることになります。体温を下げる方法は様々な方法がありますが、水が蒸発する際の気化熱による熱の放散が効果的で、かつ下げすぎる危険性も比較的低いので安全かと思います。タオルを常温の水道水で濡らして体にかけます。そして、熱の放散を促すために扇風機や団扇などで風を当ててください。タオルで包んだ保冷剤や氷嚢を使って大きな血管が通っている場所を冷やすのも効果的です。
<まとめ>
以上が熱中症に関する話になります。熱中症はしっかりと知識を身に着けて、対策を行えば予防できる病気です。これから、さらに暑い夏がやってきますが、熱中症に負けず楽しい季節にしましょう。