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2018.08.25
日記
皆さん、こんにちは。今年の3月から、動物メディカルセンターで診療を担当しております獣医師の島田です。動物メディカルセンターには、経験を積んだスタッフも、未だ経験の浅い者もおりますが、皆とても勉強熱心で、そんなスタッフと仕事をしたい、というのが他で9年動物病院勤務をした私が、ここに就職を希望した理由でした。
新しい職場で、新しい出会いがあった3月が終わる頃、大好きだった祖父との別れが訪れました。
離れて暮らしていたので、危篤の知らせをもらい駆け付けた時にはもう酸素吸入をしていても苦しそうで、母が私の到着を告げ、「来てくれたよ、分かる?」と尋ねても祖父は頷くのがやっとで、私も、「たくさん、たくさん、ありがとう。」と伝えるのがやっとでした。
それから2日後、祖父はまさに天寿を全うし旅立って逝きました。急な体調の悪化だったので、やり残したことがあっただろうな、悔しかっただろうなと思っていたのですが、お通夜の時、父が読んだ弔辞に私は心が張り裂けそうになりました。
肺炎と脱水症状により病院に担ぎ込まれた翌日、祖父は一時的に会話が出来るまでの回復を見せ、自分の2人の娘と妻を病室に呼び、労いの言葉をかけたあとで、「人生に思い残すことは何もないよ、恥じることは何一つない。」と言ったそうです。父の言葉を通して聴いた、祖父の言葉に、私を含め残された者がどれほど救われたか計り知れません。
動物は私たちと会話ができませんので、治療を受けていただく時も、看取られる時も、元気に過ごしている時でさえも、家族であるペットが何を望んでいるのか、何が最善か考え思い悩まれているご家族をたくさん見てきました。最大限のことをされたと、こちらが思うケースであっても、後にお目にかかると「やり過ぎたんじゃないか、本当によかったのだろうか。」と今もなお心を痛めているご家族もおられます。
祖父との別れの後、私は、ペットも祖父のように、「人生に思い残すことは何もないよ、恥じることはなにもないよ。」と言ってくれたら、どんなに多くのご家族が救われるのだろうと思いました。すべてが理想通りとは行きませんが、様々な折に触れ、皆様とたくさんの言葉を交わしながら、最大限寄り添い、大切なペットたちが天寿を全うされるまでのお手伝いができる獣医師になりたい、という祖父が導いてくれた答えを胸に、日々診療にあたっています。